新製品の紹介やキャンペーン情報といった顧客への情報手段として、時には豪雨など の異常気象にともなう緊急避難情報を地域住民に届ける手段として広く活用されている 「メール」。その配信サービスを提供する国内最大級の事業者であるユミルリンクでは、 1 時間当たり最大700 万通という「高速」かつ「確実」なメール配信を実現している。 この同社のサービス基盤を支えているのがカスタマー本部だ。同本部のゼネラルマネー ジャーを務める高比良実氏が言う「お客様の声を取り入れる」をモットーに、ネットワー クやストレージといったインフラからメール配信アプリケーションまでを全て自社で開 発、運用し、顧客の要望にきめ細かく応えてきた。
例えば、マーケティングキャンペーンのためのメールマガジンならば、何通送られ、そ のうちどのくらいクリックされたかといった効果測定も必要だ。ユミルリンクでは、大事 な証跡になるそうした配信ログデータも含め、確実なバックアップを取得して顧客への 提供サービスを保護している。それでなくとも、メール配信のタイミングはまちまちだ。 営業時間内に届けたいメールもあれば、週末や夜中に配信したいケースもある。どのタ イミングでも確実にメールが送れるよう可用性は不可欠な要素であり、そのため同社は 毎日バックアップを取得している。
だが、順調にビジネスが成長し、システム規模が拡大するにつれ、バックアップに要す る時間もどんどん伸びていくことがネックとなっていった。「VMware のプラットフォー ム上で動かす仮想サーバが1,000 台を越えるころには夜中いっぱいかけても終わるかど うかというほどになり、SSDを導入しても大きな改善は見られず抜本的な改善が必要だっ た」と、高比良氏は当時を振り返る。
もう1 つ、やむを得ない事情があった。2017 年4 月、VMware vSphere の標準とし て提供されてきたvSphere Data Protection(VDP)の提供終了がアナウンスされた のだ。この無償で使えてきたツールの提供終了までに、新たな選択肢を模索する必要に 迫られた。
VDP 提供終了のアナウンスを機に、バックアップシステムの刷新に乗り出したユミルリ ンクでは、他社製品も含めいくつかの選択肢を検討した。
「バックアップ製品というと事前に勉強して環境を整えなければならないケースが多い が、Veeam 製品は非常に簡単に導入できた。Veeam 社が定期的に開催しているセミナー に一度参加し、基本的な知識を得ただけですぐにバックアップ環境を構築できた」と高 比良氏は話す。最終的に、価格も含めて検討した結果、最もコストパフォーマンスに優 れた「Veeam Backup & Replication」を導入することを決定した。
2017 年10 月にVeeam Backup & Replication を導入し、仮想マシンを約1,000 台 に対して、仮想マシン当たり約300GB の容量にのぼるバックアップを日々取得してい る。仮想基盤は、東京・大阪など国内5 カ所の拠点に分散させているが、運用管理の観 点では、Veeam の1 つの画面で集約して行えている。
ユミルリンクは今後も、ディザスタリカバリやvSAN 導入などに取り組む方針だ。「お客 様の声を取り入れながら、インフラの改善に取り組んでいく。その中でVeeam は引き 続き弊社サービス基盤において重要な役割を担うものだと思っている」と最後に高比良 氏は期待を示した。
ユミルリンクは、高速・確実を特長とす るクラウドベースのメール配信システム 「Cuenote FC」を中心に、SMS 配信サー ビスやアンケートシステムなど、メッセー ジングソリューションを提供し、企業・組 織と消費者のコミュニケーションを支援し ています。モバイルデバイスの普及やソー シャルメディアの普及といったライフスタ イルの変化や消費者ニーズの多様化に対応 するとともに、常に最新のセキュリティ技 術を導入し、お客様が安心してご利用いた だけるサービスを提供しています。
vSphere Data Protection(VDP) を用 いてバックアップを取得していたが、シス テム規模が拡大し、仮想サーバが1,000 台 を越える頃にはバックアップ時間が大幅に 増え、実運用に耐えないレベルに達してい た。また2017 年4 月にはVDP の提供終 了がアナウンスされ、早急に新たな選択肢 を探し出す必要性があった。