御堂筋税理士法人は中堅・中小企業の経営計画の策定やその実行をサポートするソリューションファーム。300以上の企業に対し、税務・会計サポート、経営コンサルティング、人材育成支援、事業承継サポート、個人資産税最適化などの業務を提供している。徹底した対話とヒアリングによる業種ごとの経営計画の策定と実行サポートを強みとしている同社が重視しているのが、「わが社はすべての実験台」というスローガンだ。御堂筋税理士法人 CS2課 マネージャー 税理士 小笠原 知世氏は、「当社自身が企業経営の実験台として社内でトライ・アンド・エラーを繰り返し、成功したメソッドやノウハウだけを展開することで、自信をもってソリューションをお客様にお勧めしています」と語る。
その一環で2019年から取り組んでいるのがペーパーレス化だ。以前は、税務や会計、監査などの紙の資料が膨大に存在していたが、自らペーパーレス化に取り組むことによって、コスト削減や業務効率化を率先して実施し、効果をお客様に提案することをめざした。そのためには、社内の共有ファイルサーバも廃止して、オンプレミス運用からクラウド利用へとシフトすることが重要だと考え、Microsoft 365(当時はMicrosoft Office 365)を導入した。
オンプレミスのサーバ管理が不要になり、物理環境の心配がなくなった後で、新たに問題となったのがMicrosoft 365のバックアップだった。御堂筋税理士法人 ITソリューション課 リーダー 髙原 直樹氏は次のように説明する。「ある時、 “クラウドにおける責任共有モデル”の存在を知りました。Microsoft 365のインフラに関してはホスト側のマイクロソフトが責任を持つが、データの包括的なバックアップの責任はユーザー自身が負うという、責任範囲を示したものです。我々の今までの認識を覆すもので、バックアップソリューション実装の必要性を感じました」
御堂筋税理士法人では、Microsoft 365に決算情報やお客様情報などの重要データを保存しており、バックアップついては小笠原氏も懸念したという。「税理士業務に対するお客様の評価は『できて当たり前』の減点主義で、もしお客様の情報やデータが失われてしまったら、契約解除につながることは容易に想像できます。当社の年間標準顧問料は1社あたり約100万円ですが、お客様の多くは10年以上継続してご契約いただいています。契約解除になれば、損失は数千万円単位に及びます。中小企業経営者のネットワークは強固で、データ損失の事案がそれを通じて各所に伝わると当社の信用問題につながり、経営全体に影響を与える恐れがあります。Microsoft 365のバックアップは緊急かつ重要な課題だと考えました」
そこで同社が注目したのは、「Veeam Backup for Microsoft Office 365」(以下、Veeam)だった。Microsoft 365内のデータを、誤操作などによる削除や、内外からのセキュリティ脅威から守り、データアクセスと管理が不可能になるリスクを低減する。バックアップ先もクラウドを利用できる点を評価したという髙原氏は、「Microsoft Azure上にバックアップデータを置くというヴィーム・ソフトウェアの提案は、当社の環境に非常に合致したものでした。ネットワーク構成案も洗練されていたため、そのまま採用を決定しました」と振り返る。
2020年9月に構築を開始し、わずか1ヶ月後の翌10月には本番運用を開始した。
御堂筋税理士法人では、今後もVeeamユーザーを増やしていく予定だという。多くのユーザーがVeeamを使用することで、Microsoft 365とVeeamの活用ノウハウが蓄積されていくことになる。
Veeamは御堂筋税理士法人が持つ貴重なデータを保護し、データ損失のビジネスリスクを最小化するだけではなく、お客様へ提供する付加価値のひとつとなる可能性を持ち合わせている。
1991年開業。中小企業の“町医者”となるべく経営者のパートナーの立ち位置で長年にわたり支援。近年はソリューションファームとして、理論と実践に裏打ちされたノウハウを基に、税務・会計サポート、経営コンサルティング、人材育成支援、事業承継サポート、個人資産税最適化などをトータルに提供。中でも、KPI(重要業績評価指標)を明確にするための業績管理資料「経営のコックピットシステム」や、独自の目標管理シートを用いた、経営計画の策定および実行サポートはわかりやすく実践的で、ドラッカー他の経営理論に裏打ちされた正統派と高く評価されている。
ペーパーレス化とクラウドシフトに取り組むために Microsoft 365を導入したが、“クラウドにおける責任共有モデル”を知り、バックアップと最新のデータ保護の必要性を認識。万一、お客様の情報やデータの損失が発生すると最悪の場合契約解除にもつながり、その損失は数千万円単位に及ぶと試算。データ損失による信頼・ブランド失墜は、経営全体に影響を与えると考えられた。