VeeamがHewlett Packard Enterprise(HPE)、Nimble Storage、NetApp、Dell EMC、Cisco HyperFlexとのストレージ統合を利用して、ストレージ・スナップショットからのバックアップ機能を提供していることは皆さんご存知でしょう。この機能によって、データ保護アクティビティによる本番データやパフォーマンスへの影響を抑えることができます。また、Veeamではセカンダリ・ストレージ・アレイからのバックアップ機能によって、Nimble StorageやNetAppの本番環境への影響をさらに抑えることができることもご存知かもしれません。私はHPEを担当するアライアンス・システム・エンジニアですので、HPEの技術者から次のような質問をよく受けます。「この機能を3PARでもサポートしないのですか?」実は、サポートします!少し違いはありますが、機能は似通っています。ここでは、3PARのセカンダリ・アレイからVeeam Backup & Replicationがどのようにバックアップするか見ていきます。
HPE 3PAR StoreServセカンダリ・アレイからのバックアップ
NetAppやNimble Storageの場合、セカンダリ・アレイ・プロセスからのバックアップは非同期で実行されます。最初にストレージ・スナップショットがプライマリ・アレイ上で作成され、次にセカンダリ・ストレージ・アレイにコピーまたはレプリケートされます。その後、セカンダリ・ストレージ・アレイのスナップショットをVeeamプロキシにマウントして実際のバックアップ・ジョブを実行します。したがって、プライマリ・アレイにはアクティブな本番データが保存されます。
HPE 3PAR StoreServの場合、2つのアレイの間のPeer Persistenceの構成が主な要件になります。この構成によって、ほかのアレイ上にボリュームの同期コピーを保持することができます。この「同期」という点が、ほかのストレージ・システムとの大きな違いです。レプリケートされたボリュームは読み取り専用モードでエクスポートされるため、そのボリュームはパッシブ・ボリュームとして動作します。そのような構成では、両方のアレイがアクティブであり、本番用のプライマリ・ボリュームとセカンダリ・ボリュームの両方が保持されます。そのため、両方のアレイからVMデータをバックアップまたはレプリケートできる点に注意してください。
HPE 3PAR StoreServを利用する場合の2つ目の違いは、バックアップ中のワークフローにあります。Veeam Backup & Replicationがセカンダリ・ボリュームのスナップショットを使用するように構成されている場合、ストレージ・スナップショットはセカンダリ・ボリューム上に直接作成されます。そのため、バックアップ・アクティビティの観点からは、プライマリ・ボリュームは一切負荷が掛かりません。
ただし、これはVeeam Backup & Replicationのデフォルトの動作ではありません。そのように構成しない場合、Veeam Backup & Replicationではストレージ・スナップショットがプライマリ・ボリューム上に作成されます。HPE 3PAR StoreServセカンダリ・ボリュームからのバックアップを有効化するためのバックアップ・サーバーの構成方法は以下のとおりです。
Veeam Backup & Replicationの構成
ほかの多くの機能と異なり、この機能は通常どおりGUIで行うことはできません。この機能は、Veeamバックアップ・サーバーの役割をホストしているマシンのWindowsレジストリによって管理されています。以下のパラメータを使用して、新しいレジストリ・キーを作成する必要があります。
- 場所:HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Veeam\Veeam Backup and Replication\
- 名前:Hp3PARPeerPersistentUseSecondary
- 種類:REG_DWORD(0 False、1 True)
- 既定値:0(無効)
この機能を有効にするには、値を1に設定してください。新しい設定を適用するためには、Veeamバックアップ・サービスを手動で再起動する必要があります。
次に、この構成を実際の本番環境で行っている場合のHPE 3PAR StoreServ Management Consoleを見てみましょう。
以下のスクリーンショットでは、ハイライトされているボリューム「***5-VOL05-DD-RCPP」が「***PHY0015」という名称の3PAR StoreServシステムによって所有されていることがわかります。バックアップ・ジョブが実行されるのは、このボリュームに格納されているVMに対してです。
「***PHY0015」システムと「***PHY009」システムの間に既にPeer Persistence関係があることから、以下のスクリーンショットでは次の3つのことがわかります。
- プライマリ・ボリュームのレプリカについて:名称は「REPLI-***5-VOL05-DD-RCPP」で、「***PHY0009」システムが所有している
- レプリケート先のボリュームに作成されたストレージ・スナップショットについて:名称は「Veeam_ REPLI-***5-VOL05-DD-RCPP」
- 右側の詳細パネルのコメントについて:「This snapshot is used and managed by Veeam Backup & Replication」(このスナップショットはVeeam Backup & Replicationによって使用、管理されています)
要点
ストレージ・スナップショットからのバックアップは、本番データをより手厚く保護し、さらに高いレベルのアベイラビリティを達成するための優れた機能です。アクティブな本番データがバックアップ・アクティビティによって一切負荷が掛からないように設定できれば、さらに良い状態になります。VeeamがNimble StorageやNetAppなどのアライアンス・パートナーと行っている高度なストレージ統合と、セカンダリ・ストレージ・アレイからのバックアップ機能によって、そのような設定が可能になっています。そして、同じことがHPE 3PAR StoreServでもできることを、この記事で皆さんに紹介しました。
関連するその他の製品・ソリューションはこちら
Microsoft 365のデータの包括的なバックアップをサポートする「Veeam Backup for Microsoft Office 365」。製品概要や利用シーン、成功事例はこちら。
Windowsベースのシステム、物理サーバー、クラウドインスタンス向けの包括的なバックアップおよび復元ソリューション「Agent for Microsoft Windows」。製品概要やエディション比較、成功事例はこちら。
SharePointのオブジェクトを迅速かつ簡単にリストアできる「Veeam Explorer for SharePoint」。製品概要や新機能、エディション比較、特長はこちら。
投資対効果が高く安全で、エンタープライズにも対応している、Microsoft Azureのバックアップ専用製品「Veeam Backup for Microsoft Azure」。製品概要や成功事例などはこちら。