【製造業】CADデータ、図面データを安全に効率よく管理する方法

CADデータや図面データをどのように管理していますか。

整理しきれずどこに何があるのか分からなくなったり、いざ使おうと思ったらファイルが破損していたりといった問題を抱えていませんか。

CADデータの管理方法が統一されていなかったり、保存場所が提供されていなかったりするために、個人個人がWindowsエクスプローラで管理せざるを得ない環境の組織も多いでしょう。しかし、その管理方法が原因で冒頭のような問題を引き起こすこともあるため、注意が必要です。

この記事では、CADデータの管理方法について、現状の課題とその解決策を紹介していきます。データを安全に守る方法も解説しているので、どうぞ最後までご覧ください。

CADデータ管理の現状

CADを使ううえで、次のような困りごとはありませんか。

「欲しい図面があってもすぐに見つけられない」
「図面や部品の再利用ができない」
「データが勝手に上書きされた」
「ファイルが壊れた」

このようなことが起こっている現場では、次のような課題を抱えている可能性があります。

まずは、企業が抱えているこれらの課題について、具体的にどこが問題なのかを見ていきましょう。

図面データの保存管理方法が決まっていない

データが個人管理になっていたり、共有されていたとしてもルールがないために人によって保存管理方法が異なったりしていることはないでしょうか。ファイル名の付け方が統一されていなかったり、正しくリスト管理されていなかったりするために、どこに何があるのかが分からなくなっているケースもあるでしょう。リストがそもそも存在せず、記憶をたどる以外の方法がないということもあるかもしれません。

データが増えてくると個人の能力では対応しきれなくなるため、組織的に管理できる環境が求められます。

リビジョン・バージョン管理(改訂・版管理)ができていない

CADデータの管理において、リビジョン・バージョン管理(改訂・版管理)が大切であることは誰もが理解しています。しかし実際には、管理が正しくできていないためにトラブルを引き起こしているケースが非常に多いのが現状なのではないでしょうか。皆さんも、一度は次のような経験をしているかもしれません。

これらの問題は、リビジョン・バージョン管理が正しく行えていないのが原因です。特に3D CADを使っている場合は、共有データを誰かが上書きしてしまうと以前のデータがなくなってしまうので、よりこのようなトラブルが起こりやすいかもしれません。

一緒に保管すべき関連データが別々に管理されている

CADデータとBOM(Bill Of Materials=部品表)が別管理されており、連携ができていないために、図面と部品の関連が分からなくなったり、二度手間が発生したりするケースも少なくないでしょう。途中で部品を変えたのに正しく反映されておらず、古い部品のままで設計を進めてしまったという経験を持つ人もいるかもしれません。書類が正しく管理されていないと、余計な手間が増えたり、大きなミスに繋がったりする可能性があるのです。

また、3D CADデータをWindows エクスプローラなどで安易に管理してしまうと、データ破損につながることがあるため注意が必要です。3D CADデータは1つのファイルだけで稼働するわけではないので、Windowsエクスプローラで1ファイルだけを安易に移動したりリネームしたりしてしまうと、関連ファイルが見つからず動作しなくなることがあるからです。

このようなCADデータ管理における課題を解決する方法の一つに、PDM(Product Data Management=製品データ管理)の導入があります。次項では、PDMの概要と、導入にあたって検討すべき基本事項を紹介していきます。

CADデータ管理の課題解決に役立つ「PDM」とは

PDMとは、製造業で設計開発に使われるCADデータやそれに関連するものを一元管理すること、または、そのシステムのことをいいます。必要データを一箇所にまとめられるだけでなく、リビジョン・バージョン管理やデータ同士の連携、ファイルへのアクセス制限などの機能が備わっているので、これまで企業が抱えてきた課題も解決するでしょう。

PDMは複数の事業者が提供しており、機能や費用もそれぞれですので、もし導入を検討する場合はしっかり比較して自社に合ったものを探すことをおすすめします。

PDMの選び方「オンプレミスかクラウドか」

PDM等のシステムを導入する際に、オンプレミス型にするか、あるいはクラウド型にするかで迷うこともあるかもしれません。まずは、それぞれのシステムの特徴を確認しておきましょう。

オンプレミス型とは

オンプレミス型とは、専用のサーバーを自社内やデータセンターに設置してそこでシステムを構築し、自社で全てを管理・運用するタイプのことをいいます。自由度が高く、業務内容や体制にピッタリ合ったシステムを構築できるというメリットがある一方で、全てを自社で管理しなければならないという課題もあります。中でも特に近年課題になっているのが、サイバー攻撃への対策です。

オンプレミスの場合はセキュリティ体制を自社で決められるので、強固にしたければできることから安全性が高いと考えられています。ただしそれも自社管理なので、穴を作らないよう正しく運用する必要があるという点に注意が必要です。

クラウド型とは

クラウド型とは、クラウドサービス提供者のサーバーの一部を借りて運用するシステムのことをいいます。クラウドというのは雲という意味なので、インターネット上のどこかにシステムが浮かんでいるようなイメージを持つと分かりやすいかもしれません。

クラウドの場合は提供されているスペースを間借りしているイメージなので、セキュリティ対策された中で運用できるという安心感がありますが、オンプレミスと比較するとシステムの自由度に制限があります。また、インターネットを経由するため、100%安全とは言い切れない点にも注意が必要です。

CADデータのランサムウェア対策

ランサムウェアは、製造業など各業界のシステムが脅威にさらされているサイバー攻撃の一種です。ランサムウェアは、企業のネットワークに侵入してファイルを暗号化した後で画面上に脅迫メッセージを映し、暗号を解くための鍵と引き換えに身代金を要求します。身代金を支払わない企業に対しては、システムから盗み出した機密データを公開する、あるいは、暗号化したデータを破壊するといった手口でさらに脅迫して身代金を要求してくることもあります。

ランサムウェア被害に遭う要因

製造業は、ランサムウェア被害件数の多い業界の一つです。古いシステムを使っている企業も、新しいシステムを導入済みの企業も、それぞれの原因でランサムウェア攻撃を受けています。

古いシステムを使っている企業の場合

古いシステムを使っている企業は、特にランサムウェアに侵入されやすいため注意が必要です。サポートが終了したOSを使っていたり、OSのアップデートをしていなかったりすることが原因でネットワークに穴があき、そこからランサムウェアに侵入されるケースがよくあります。

新しくシステムを導入した企業の場合

近年、製造業ではシステム化が進んでおり、それに伴ってランサムウェアの攻撃を受けやすくなっています。具体的には、社内ネットワークを外部ネットワークに接続する際に、その接続ポイント(VPN機器)から侵入されるケースがあります。一部のVPN機器に脆弱性があることが分かっており、そこを突いて攻撃者が侵入したという事例は少なくありません。

CADデータのランサムウェア対策

CADデータをランサムウェアの攻撃から守るために必要なのは、以下の2点です。

ランサムウェアの侵入を防ぐ仕組み

以前は、社員に送られた悪意あるメールや、USBメモリなどを経由してランサムウェアが社内ネットワークに侵入するケースが多く見られました。今はそれに加え、攻撃者がVPN機器やネットワークの脆弱な部分を見つけ出し、そこから侵入するケースが増えています。

それを防ぐには、社内全体のセキュリティ対策を見直して一つひとつ改善していくしかありませんが、今や100%防ぐのは不可能だといわれています。攻撃者は日々新しい手口で侵入を試みているため、先回りして完全に防御するのは容易なことではないのです。

そこで昨今重視されるようになったのが、攻撃を受けた際に復旧する仕組みの整備です。

ランサムウェア攻撃を受けた際に素早くシステムを復旧する仕組み

ランサムウェアの被害に遭うと、次のような損害を被ることがあります。

そしてその金額は、大きいと数千万から億単位にのぼることもあるといわれており、業務停止期間が長引けば長引くほどその損害額は大きくなります。

そのため現在は、システムをできるだけ早く復旧させるためにバックアップをとっておくのが、被害を最小限におさえる最も有効な方法の一つとされています。バックアップをとっておけば、被害に遭ったシステムを停止し、バックアップの方を動かして業務を再開できるからです。

Veeamでは、大企業から中小企業まで、様々な組織のデータバックアップをお手伝いしています。オンプレミスにもクラウドにも対応しており、CADデータもPDMシステムも丸ごとバックアップをとって一元管理できるので、万が一の場合の復元も簡単に行えます。

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