今日、ストレージ・プロバイダ大手の大半が何らかの形態の長期的な物理テープ・ライブラリ・ストレージを提供しており、顧客はコスト効率に優れたコールド・ストレージを選択できます。しかしながら、物理テープ・ライブラリ・ストレージは、いくつかの重要な問題に直面しています。まず、持ち運びと管理が複雑だということです。次に、アップグレードのコストです。古いテープは低速で信頼性に欠けますが、新しいテープは低価格ではありません。テープ・メディアは一定の温度で保管する必要があるため、保管状態が問題になる場合もあります。コールド・ストレージを既存のクラウド・バックアップ・インフラストラクチャに統合できない、または交換さえもできないという問題もあります。オンプレミス・データとクラウド・バックアップ間のシームレスな同期を必要とするITスタッフにとって、仮想テープ・ライブラリ(VTL)に備わるスケーラビリティと管理の容易性が優れているのはこのような点においてです。テープ・インフラストラクチャを最新のクラウドベースのストレージ・システムに交換するという選択肢は、多くの企業にとって魅力的であり、VeeamがVTLテクノロジーに投資している理由はそこにあります。
VeeamにおけるVTLの選択肢
VeeamON 2017では、多くの素晴らしい発表があり、その1つは、Veeamのお客様が、スケーラブルかつコスト効率に優れたテープの代替手段として、Amazon AWSオブジェクト・ストレージでVTLを利用できるようになったことでした。Veeamのお客様にとって、このソリューションが素晴らしい点は、既存のバックアップ・プロセスを全く変更せずに、Veeam Backup & Replicationを利用できる点です。多くの企業は、テープの機能に基づいたルールを使用して、業務手順を構築し、さまざまなリストア・ポイントの場所を予測しているため、プロセスの変更が不要であることは重要なポイントです。Veeam統合のVTLソリューションを使用すると、データは低レイテンシのAWSパブリック・クラウド・ストレージ(Amazon Simple Storage Service S3)に保存されます。データをさらにコスト効率に優れたAmazon Glacier Storageに移行して長期間の保存を可能にするスマートなデステージ機能も利用できます。Veeamでは現在、VTLに対して、AmazonのネイティブVTLまたはStarWind Cloud VTLを利用する2つの選択肢を提供しています。今後さらなる選択肢が発表されます。
どのように機能するか
前述したように、VeeamのバックアップをAWSにオフロードする際、Veeamのお客様にはVTLの選択肢が複数提供されます。VTLは実装すると、仮想マシンまたはオンプレミス・サーバーに置かれ、Veeam Backup & Replicationに表示されます。VTLは物理テープ・デバイスとして表示され、テープ・データを受信できるようになります。その後、迅速な復元機能を利用できる低レイテンシのS3ストレージにデータを移行します。VTLはオンプレミスの物理テープ・ドライブをエミュレートしているため、テープへのバックアップに精通したユーザーは、プロセスを変更する不要はありません。データをS3ストレージに移行した後は、Glacierに移行することを選択できます。Glacierではデータの復旧に24時間かかるのに対して、S3では短時間で済みますが、長期的な保存目的とコスト効率の点ではGlacierが優れています。
物理テープをクラウドでオフサイトに移行するメリット
VTLにより、クラウド・ストレージ層を既存のバックアップ・インフラストラクチャに統合する作業が容易になりますが、VTLで実現できるようになった重要な作業がもう1つあります。本番データのコピーをオフサイトに移動することで、3-2-1ルールの最終ステージを完了できるようになったのです。オンプレミスの物理テープ・ストレージのみに依存することは、企業の災害に耐え得る理想的なバックアップ計画とはかけ離れています。古い仕組みを維持し、物理テープをセカンダリ・サイトに輸送することもできます。しかし、輸送コストにいくらかかるでしょうか。また、テープが誤った場所に配置されるのも困ります。また、物理テープをオフサイトに輸送することで、本当に貴社はダウンタイムを最小限に抑えながら最大限の可用性を実現することができるでしょうか。物理テープ・インスタンスを、Veeamの既存の仮想バックアップとともに仮想環境に統合できるようにすることで、災害時にはデータをクラウドに安全に保存し、オフサイトのロケーションから容易に復旧できます。
以下の図では、Veeam Backup & Replication v10(Veeam Availability Suite v10の一部)で使用されているこの新しいVTLテクノロジーと、日次テープ・バックアップのロジックを含む新しいGFSメディア・セット機能をこっそりお見せします。
結論として、バックアップを実行している場合、もしくはバックアップ・ファイルをAWSに転送したいと常々考えていた場合は、以下を実施してください。
- テープ・デバイスをご提案したVTLでエミュレートします
- 既存のテープ・ジョブを使用するか、新たなジョブを設定します
- VTLをAWSに接続します
- 準備完了です
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