今日の大企業にとって、バックアップストレージのIT管理は、増え続けるデータに対処できなければ、膨大な労力と費用を要する課題となります。従来のバックアップソリューションでは、この問題を効率的に解決するのが困難であるため、問題はさらに悪化して、管理負荷が増大し、未使用の無駄なストレージが多すぎるために、バックアップストレージの管理が悩みの種になります。
より効果的な方法が必要です。つまり、大企業において、バックアップストレージの管理を簡素化し、管理に伴うITの作業負荷を大幅に軽減すると同時に、バックアップストレージのハードウェア費用を削減することにより、データ保護の予算に対する影響を軽減する方法です。
Veeamでは、常に技術革新を進めており、今回、バックアップストレージの管理方法に大変革をもたらす素晴らしい新機能を導入しました。 Veeamの新しい無制限のScale-out Backup Repository (スケールアウト バックアップリポジトリ) は、異種ストレージデバイスで構成される単一のスケーラブルなバックアップリポジトリを作成することにより、従来のバックアップストレージ管理の問題を解決します。これは、バックアップストレージをより効率的に管理および使用できるソフトウェア定義の抽象レイヤーを作成して、バックアップストレージとバックアップジョブの管理を徹底的に簡素化します。
その仕組みに関心があれば、続きをお読みください。
現在のバックアップストレージの管理 - IT管理者の頭痛の種
この図は何を示しているかお分かりになりますか。これらはすべてバックアップリポジトリです。これが、多くのユーザーが受け入れなければならない現実です。
なぜこのようなことが起こるのでしょうか。最も一般的な原因は、複数の物理ストレージデバイスがバックアップ先として使用されることにあります (例えば、物理サーバーの内蔵ディスクへのバックアップは、一般的なバックアップストレージソリューションです)。別の原因としては、単にストレージデバイスの最大ボリューム (LUN) サイズに制限があるということが考えられます。いずれにしても、大半のユーザーは、複数のバックアップリポジトリを使用しており、最も規模の小さい環境であっても、最初のバックアップ先はすぐに肥大化してしまい、しかも、それが破棄されることはありません。
こうした状況から、大半のユーザーは、少なくとも、バックアップリポジトリと同じサイズのバックアップジョブを作成する必要があります。ユーザーは、バックアップストレージの容量に見合うジョブを数十個、あるいは数百個も作成することを決して望んでいるわけではなく、ただそうせざるを得ないのです。
さらに、一見しただけではわからないもう1つの問題があります。”Free”のカラムを見てください。大量の無駄なディスク領域があることにお気づきになるでしょう。実際のところ、将来の仮想マシン (VM) の増大を考慮すると現在のジョブの配置を控えめにせざるをえないのです。そうしなければ、ユーザーはおおむね、リポジトリ用のディスク領域の不足に起因するバックアップの失敗や、繰り返されるジョブの再設計に全力を傾けることになります。これを回避するために、まさしく文字通り、追加のバックアップストレージを購入しなければなりません。しかし、既存のストレージ容量の30%以上はただ将来の増大に備えて待機しているだけで、未使用のままです。
使用可能なストレージリソースを最大限に活用するために、バックアップジョブのターゲットとなるバックアップリポジトリをいちいち選択しなければならないのは、面倒ではありませんか。この絶えず続くバックアップジョブの「細かな管理」をきっぱりとやめ、次のバックアップストレージを購入しないで済ませたいとは思いませんか。そのためには、単に既存のストレージをより有効に利用すればいいのです。現状を変えたいとお思いであれば、続きをお読みください。;)
新種のバックアップリポジトリ
自然界と同様、適切なバックアップストレージソリューションを選択することは常に、生き残りをかけた問題です。ユーザーやコンサルタントは、既存の環境に基づいて、特定のシナリオに最適なソリューションを見つけなければなりません。高速なストレージアレイの場合もあれば、大量の復元ポイントを保持できる大容量システムの場合もあります。また、重複排除アプライアンスなども考えられます。
しかし、自然界と比べると、これらのシステムには、ある重要な機能が欠けています。それは、進化です。これらのシステムは通常、いったん選択してしまうと、その動作や特性を変更することはできません。オールフラッシュアレイが重複排除アプライアンスより安くなることは、当面考えられません。また、ディスクアレイが、フラッシュアレイより高速になることはないし、重複排除アプライアンスが、ストレージアレイのようにバックアップファイルからVMを起動できるようになることもありません。どの選択肢もそれぞれ一長一短があり、設計者は、ソリューションを慎重に選択する必要があります。なぜなら、選択するソリューションは高価なものであり、投資を回収できるだけの十分な減価償却期間が必要だからです。当初の選択が間違っていたからと言って、わずか数ヶ月後に別のバックアップストレージに買い替えようと思う人はいません。しかし、誰もが毎年倍増するデータの処理に直面しているこの現代社会において、1年前は適切だった選択が、今は適切であるとは限りません。
企業ユーザーは、データ量の増大に対処しなければなりません。その一方で、コスト、ストレージ容量、バックアップウィンドウ、およびシステム関連の管理コストが厳格に管理されていることを利害関係者に保証する必要があります。これは、簡単なことではありません。Veeamは、Backup Copyジョブとリファレンスアーキテクチャを導入することにより、これらの問題の一部を解決してきました。最も高速のバックアップと復元のために高速で小容量のTier 1ストレージ、バックアップコピーを保存して、限られた予算でできるだけ長く保持するための大きく安価な (TB単価) Tier 1ストレージです。それでも、リポジトリの管理に取り組む必要があります。つまり、最初の選択から、長期にわたるスペース使用量、再利用および廃棄までを管理しなければなりません。
Scale-out Backup Repository (スケールアウト バックアップリポジトリ) は、Veeam Availability Suite v9に新しく導入された非常に優れた機能で、これらの問題を直接解決し、ユーザーにバックアップストレージを管理するための新たな方法を提供します。
スケールアウトレポジトリは、ひと言でいうと、複数の「通常の」リポジトリを単一のプールに統合し、そのプールをバックアップコピーおよびバックアップジョブのターゲットとして使用します。単純な機能に聞こえますが、これはユーザーに多くの新たな素晴らしい機会を提供します。いかがですか。きっと、すでに関心が高まってきたことと思います。
グローバルプール
まず、規模の大小を問わず、企業ユーザーにとって、スペースが不足したらリポジトリを簡単に拡張することができます。ユーザーは、時間がかかり、面倒なバックアップチェーンの再構成 (大企業ユーザーの場合、非常に大がかりになる可能性があります) を行う代わりに、既存のスケールアウトリポジトリに新しいエクステント (つまり、「通常の」バックアップリポジトリ) を追加することができます。既存のバックアップファイルはすべて保存されます。さらに、追加のリポジトリをグループに追加しても、バックアップのターゲットは変わりません。しかも、追加された空きスペースは、すぐに使用できます。
この機能は、たとえVMの数が数千台に及んでも、環境全体を単一のジョブで保護できることを意味します。これは、特にv9で導入される他の優れた機能 (VMごとのバックアップチェーン) と組み合わせた場合に顕著です。多数の大きなエクステントにより、そのジョブのターゲットをスケールアウトリポジトリに指定するだけです。リポジトリ別に容量を管理したり、ジョブサイズのプランニングを何度もやり直したりする必要はありません。
ストレージへの投資を活用
Scale-out Backup Repositoryは、リポジトリと同様に機能する、単なるリポジトリのグループではありません。こういう言い方をすると、別のスケールアウトソリューションのように聞こえるかもしれません。ノードが追加されると、システムは、追加スペースとコンピュータリソースが利用可能になります。これは、Veeamのスケールアウトリポジトリにも当てはまりますが、その機能の説明の一部にすぎません。Veeamはストレージ企業ではありません。ユーザーが機能、パフォーマンス、スペースおよびコストに関するニーズに基づいて選択したストレージを使用するソフトウェアソリューションです。ユーザーは、Scale-out Backup Repositoryのおかげで、異なるストレージシステム (つまり、ローカルまたはDASストレージ、ネットワーク共有、および重複排除ストレージアプライアンスを備えたWindowsまたはLinuxサーバーなど、Veeamによってサポートされるすべてのバックアップ先) を組み合わせて一つにすることができます。小さなチャンクに分割された多数の空きスペースが複数のサーバーまたはファイルに分散していませんか。それらをすべて新しいScale-out Backup Repositoryに追加すれば、その空きスペースをすぐに有効利用することができます。すでにあるスペースを使い果たすまで、新たにストレージを買い足す必要はありません。
しかし、より重要なのは、Scale-out Backup Repositoryは、実際のストレージデバイス上に配置されるソフトウェア定義のストレージ技術であるということです。これは、どんなストレージソリューションでも、そのすべての単一機能が維持されることを意味します。例えば、Scale-out Backup Repositoryを使用する場合でも、重複排除アプライアンス (EMC Data Domain Boost、HP StoreOnce CatalystまたはExaGrid Accelerated Data Mover) を使用することができ、その独自のAPIを活用して、データの大幅な削減とパフォーマンスの向上を実現することができます。もうおわかりでしょう。ご使用の環境で使用可能な、またはこれから取得しようとしているすべての種類のリポジトリを組み合わせて一つにすることができ、その高度な機能もそのまま活用することができます。他の汎用スケールアウトストレージソリューションとは異なり、Veeamでは、ローカルディスクを備えたサーバーに限定されません。
このソリューションも、特定のハードウェアおよびストレージにまったく限定されないというVeeamの最も重要な設計目標を踏襲しています。他のエンタープライズバックアップベンダーが、特定のストレージプラットフォームだけをサポートし、さらに悪いことに、自社製のストレージアプライアンスを購入させたいと考えていれば、ユーザーは、さらに多くのストレージリソース (汎用ストレージではない) を取得せざるを得ません。これに対して、Veeamはまったく異なる方法を採用しています。つまり、データセンターにすでにあるストレージを活用します。既存のリソースを完全に使い果たすまで、新たにストレージを購入する必要はありません。
ストレージ対応の配置
バックアップストレージはさまざまで、Scale-out Backup Repositoryは、これを考慮して設計されています。各エクステントについて、「役割」を割り当てることができます。グループのリポジトリごとに、完全バックアップ、増分バックアップ、またはその両方のどれを受け入れるかを定義します。これは、マウスを数回クリックするだけで行うことができます。ここで、無限の可能性について考えてみましょう。Scale-out Backup Repositoryは、異なる特性を持つ複数のリポジトリを1つのグループにまとめることで、簡単に作成できますが、グループに含まれる特定のストレージデバイスの長所をシームレスに活用するように設定することもできます。
Veeamバックアップに対する変換操作の例を取り上げてみましょう。変換操作が発生すると、2回のI/O操作で、最も古い増分ファイルが完全バックアップファイルにマージされます。多くのローエンドのバックアップストレージシステムは、このランダムI/Oに十分に対応できず、ユーザーは結局、アクティブな完全バックアップを選択することになるので、IOPS (Input/Output operations Per Second:1秒間の入出力回数) が低下するだけでなく、永続的な増分バックアップの利点も失われます。ここで、別の単純なJBOD (Just a bunch Of Disks:単なるディスクの束) を最初のリポジトリに追加した場合を考えてみましょう。Scale-out Backup Repositoryは、まったく異なる (しかも効果的な) 方法で機能させることができます。増分バックアップを一方のエクステントに割り当て、完全バックアップを他方のエクステントに割り当てることにより、変換が発生すると、2回のI/O操作のうちの一方のI/O (読み取り) が、増分バックアップを保持しているリポジトリによって実行されるようになり、完全バックアップを保持しているリポジトリに残っているのは、1つのI/O (書き込み) だけになります。フラッシュ、キャッシュ、または他のメカニズムを追加しなくても、Scale-out Backup Repositoryは変換操作のパフォーマンスを直ちに2倍以上向上します。それほど悪くはありませんよね。
では、JBODと同様の小さなクローン群ではなく特殊化されたエクステントの集まりについて考えてみましょう。増分バックアップを高速で取り組むための非常に高速のオールフラッシュアレイと、複数のGFS (Grandfather-Father-Son) 完全バックアップを保持するための汎用の重複排除アプライアンスを組み合わせるとどうなるでしょう。2つのまったく異なるソリューションを組み合わせて、それぞれの能力を最大限に活用すると同時に、それらの制限を取り除くことができます。
どんな種類のストレージでも、最も高度なストレージさえ、あるシナリオには見事に適合できても、別のシナリオでは、誤った投資になる可能性があります。Scale-out Backup Repositoryであれば、ユーザーはストレージを自由に選択することができ、しかも選択可能なストレージの基本的な機能を維持することにより、組み合わせは無限になります。
ストレージクラウド
Scale-out Backup Repositoryによって作成される抽象レイヤーのおかげで、バックアップ管理者は、セルフサービスソリューションの「ストレージクラウドのプロバイダー」になることができ、ユーザーは、独自のバックアップジョブを自由にセットアップすることができます。どのストレージに割り当てるかを考える必要はありません。また、ジョブが特定のリポジトリに収まるように、バックアップジョブのサイズや保持期間を計画するための複雑な計算を行う必要もありません。
代わりに、バックアップ管理者が、単一のスケールアウトリポジトリをセットアップするだけで済みます。この場合、ユーザーは、(たくさんのリポジトリではなく) 1つのリポジトリだけを、セルフサービスで、ジョブのターゲットとして選択することができます。その後、スケールアウトリポジトリは、ポリシーおよび使用可能な空きスペース量に基づいて、使用可能なエクステントの使用を開始します。クラウドのような適切なソリューションと同様、スケールアウトリポジトリでも、責任をプロバイダーと顧客との間で完全に分離することができます。
自然界では、生き残るために進化する必要があります。Veeam Scale-out Backup Repositoryを使用すると、バックアップ先を進化させて、すでに行ったバックアップストレージへの投資を一切無駄にすることなく、変化する社会に合わせて短時間で調整することができます。
私には、信じられないほど素晴らしい機能に思えるのですが、いかがですか。
Veeamでは、Scale-out Backup Repositoryの詳細について学べるウェビナーをまもなく開催します。ぜひご参加ください。
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