Veeam Availability Suite 9.5で提供されるエンタープライズ・スケーラビリティおよびその他の機能

当社は先月開催したNext Big Thing仮想イベントで、Veeam Availability Suite 9.5の最新機能であるエンタープライズ・スケーラビリティの機能拡張および高度なReFS統合を発表し、どちらについても多くのお問い合わせをいただきました。ここでは、エンタープライズ・スケーラビリティの機能拡張について詳しく説明します。また別の記事では、独自の重要技術である高度なReFS統合について説明します。

Veeamのすべてのリリースにスケーラビリティの向上と機能拡張が含まれていますが、9.5はこれらのリリースとはまったく異なります。近年、当社の実施するPOC(概念実証)プロジェクトの規模はますます拡大しています。このため、当社は多くのフィードバックを基にアーキテクチャを進化させ、Veeamによる真のエンタープライズ・スケーラビリティを実現しています。これらの新機能と機能拡張によって、スケーラビリティが10倍に向上します。これは次の4つの主要コンポーネントによるものです。

これらの各機能はプライマリ・ストレージとセカンダリ・ストレージからのデータフローに合わせて調整されており、vSphereおよびコア製品アーキテクチャの機能を拡張します。これらの各機能を技術的に詳しく見ることで、Veeam Availability Suite 9.5でAvailability for the Always-On Enterpriseを実現できる理由がわかります。

バックアップ・アクセラレーション技術

スケーラビリティは多くの方法で実現できますが、高いパフォーマンスとバックアップ・ウィンドウの短縮によって本番環境のストレージに多大なストレスがかかり、本番ワークロードのパフォーマンスや可用性に影響が出る可能性があります。バージョン9.5では、本番ストレージに対するストレスを減らすため、エンタープライズ・ストレージ向けに最適化されたVMディスクの新しい読み取り技術が導入されています。この高度なデータ・フェッチ機能によってI/O速度が大幅に向上するため、バックアップ・ウィンドウが大幅に短縮されます。また、ジョブの完了に必要なストレージI/O操作が減るため、プライマリ・ストレージに対するストレスも減ります。また、この新機能をバックアップI/Oコントロールと組み合わせて使用すると、環境内で1日あたり複数回のバックアップを実行できるため、RPO(目標復旧ポイント)を大幅に改善できます。以前は、この操作が本番ワークロードに影響を与えていました。

もう1つのバックアップ・アクセラレーション技術は、新しいブローカー・サービスです。以前のバージョンでは、各ジョブとUI自体がvCenter Serverと直接やり取りして仮想インフラストラクチャ階層を取得していました。これに対し9.5では、階層がブローカー・サービスによって取得され、RAMにキャッシュされてメモリ速度でアクセスされます。これらの処理と、vCenterイベントへの登録によるリアルタイム更新は同時に行われます。このため“VMリストの構築”やUI応答性などのジョブ操作が大幅に高速化されますが、より重要な点は、非常に重要な仮想インフラストラクチャ・コンポーネントであるvCenter Serverへの負荷が軽減され、その可用性が大幅に向上するということです。この結果、大規模で稼働率の高いvCenter Serverシステムでは、すぐにバックアップの成功率を上げて、vCenter Serverのオーバーロードによるジョブの再試行回数を減らすことができます。

最後に重要な点として、vSphere APIクエリの大幅な最適化によって、インフラストラクチャ階層の完全取得が必要な場合(バックアップ・サーバーの再起動後や、RAM内階層ミラーを最初から設定することが必要な場合など)の、仮想インフラストラクチャへの負荷がさらに軽減されます。

VM全体のリストア・アクセラレーション技術

Veeam Availability Suite 9.5では、Rawディスク、重複排除ストレージおよびテープなどの、多数のリストア・オプションのカスタム・ロジックによって、リストア・プロセスが数多く改善されています。これらの各シナリオにおいて、VM全体のリストア速度が大幅に向上します。Rawディスクを利用したバックアップ・リポジトリからリストアする場合、複数の仮想ディスクを(バックアップと同様に)並行してリストアできます。EMC Data Domainの場合、カスタマイズされたデータ取得ロジックを使用することで、この重複排除ストレージによるパフォーマンスを最大化します。また、9.5ではVM全体をテープから直接リストアできるため、VMをリストアするためにバックアップ・ファイルを一度リポジトリ上に展開する必要はなくなりました。このため時間だけでなく、テープ・リストア用のバックアップ・リポジトリのストレージ領域も節約できます。

また、インスタントVMリカバリ・エンジンも重点的に改良しており、特に複数のVMを並行して実行する場合に、インスタント・リカバリされるVMの起動時間と全体的なI/O処理の改善により、I/Oパフォーマンスの大幅な向上(最大2〜3倍)が期待できます。

コア・エンジン機能拡張

9.5で構成データベース全体のやり取りを改良するには、多くの困難がありました。Veeam Backup & Replicationでは多くの機能(構成、履歴、ジョブなど)にSQL Serverデータベースが使用されています。9.5では大量のオブジェクトの操作時のUIの応答性を上げるため、多くの改良を行っています。このため、データベース構造の変更、SQLクエリの最適化、およびカスタムUIコントロールの作成を行い、データベースへの負荷を大幅に減らすことができました。このため、数千台の保護されたVMを使用しているお客様が9.5にアップグレードすれば、すぐにその違いを認識できます。

また、9.5はSQL Server 2008以降をVeeam構成データベースとしてサポートするため、高度なSQL Server 2008の機能(TEMPDBの使用に関する機能など)を使用して、全体のスケーラビリティをさらに上げることができます。つまり、SQL Server 2005は保護対象として引き続きアプリケーション対応のイメージ処理でサポートされますが、Microsoftは今年でSQL Server 2005以前のサポートを終了するため、いずれにしてもサポート対象バージョンにアップグレードした方が良いかもしれません(SQL Server 2014以降へのアップグレードを強くお勧めします)。

全体的に、これらすべての変更によって大規模環境を保護するためのスケーラビリティが大幅に向上しますが、VMバックアップ処理以外の利点もあります。たとえば、以前は数十万個を超えるファイルをファイルからテープにコピーするジョブは非常に困難でしたが、9.5では軽く1千万個を超えるファイルを処理できます。これは従来の最先端のテープ・バックアップ・ソフトウェアより高速で、ベータ・テスターも驚くほどです。

また、既存のコードの高速化だけでなく、新機能の追加によって、バックアップ・インフラストラクチャのスケーラビリティとバックアップ・データフローの最適化を同時に実現しています。たとえば、新しいプロキシ・アフィニティ機能によって、特定のバックアップ・リポジトリとやり取りできるバックアップ・プロキシのリストを簡単に定義できます。この機能は、Cisco、Hewlett Packard Enterprise(HPE)などからオールインワンのVeeamバックアップ・アプライアンスを使用する場合に特に便利です。バックアップ・トラフィックがアプライアンスに対してもマルチサイト環境でもローカルのままになるためです。次の図は、新しいプロキシ・アフィニティ機能のいくつかの使用例を示したものです。

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